普段何気なく利用するインターネットですが、「光回線とWi-Fiの仕組みが複雑で分かりにくい」と感じている方も多いと思います。
実は、光回線とWi-Fiは似ているようで、それぞれの役割は全く異なるのです。
当記事では、光回線とWi-Fiの仕組みに加えて、光回線を使うWi-Fiとモバイル回線を使うWi-Fiの違いをご紹介します。
「インターネットを使いたい、でもどのようにどこで契約すればいいのか分からない」
「Wi-Fiを使ってインターネットを楽しみたい」
「インターネットの安定的な接続環境が欲しい」
上記のような、インターネット接続に関する要望・悩みを抱えている方に向けて、料金や通信速度、回線工事の必要有無などをまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
光回線とWi-Fiはそもそも全くの別物?
光回線とWi-Fiの違いは、インターネットに接続するための「通信回線なのか」、「通信方式なのか」という根本的な部分にあります。
光回線が「光ファイバーケーブルとONU(光回線終端装置)」を使ってインターネットに「有線」接続するのに対し、Wi-Fiは「通信回線を受信する専用機器」を通してインターネットに「無線」接続します。
※ONU(光回線終端装置)とは、光信号とデジタル信号を相互変換する端末。パソコンを直接つないでインターネットを利用できるが、複数の別端末にインターネットを通す場合はルーターを用いることが多い。
光回線 | Wi-Fi |
インターネットに接続する「回線」 | インターネットに接続する「方式」 |
光ファイバーを使った回線 | 相互性のある無線LAN規格 |
ONU(光回線終端装置)から有線でインターネットに接続する | Wi-Fi専用機器に通信回線を受信して
インターネットに接続する |
<その他通信回線>
など |
<通信回線を持つ機器>
など |
Wi-Fiの仕組みを簡単に説明すると、「NTT(フレッツ光)」や「UQコミュニケーションズ(WiMAX)」など、インターネット回線を提供する「プロバイダー(回線事業者)」から得た通信回線(ブロードバンド)を「有線から無線へ」と各端末に向けて電波変換する役割があります。
Wi-Fiは光回線のような通信回線(ブロードバンド)がなければ機能せず、たとえWi-Fi対応機器を用意・設置したとしてもインターネットに接続できません。
結果的に光回線とWi-Fiでは、そもそもの役割や立場が異なるため、比較するのであれば「どのような回線を使ってインターネットを使用するのか」といった同じフィールドに存在する「光Wi-Fi」と「モバイル回線Wi-Fi」を対象に見て行くのがふさわしいと言えるでしょう。
光回線Wi-Fiとモバイル回線Wi-Fiの違いを表で解説!
Wi-Fiは、利用するブロードバンド(通信回線)によって名称・仕組みが異なります。
以下のとおり、Wi-Fiに対応するブロードバンドは大きく2つに区分できるのが特徴です。
- 光回線(光Wi-Fi)
- モバイル回線(モバイルWi-Fi)
光Wi-Fiは、光回線をONU(光回線終端装置)から有線でWi-Fi専用機器に接続してインターネットを利用するのが一般的です。
対して、モバイルWi-Fiはモバイル会社が発信する電波・モバイル回線をWi-Fi専用機器に受信させて利用します。
つまり、双方の仕組みには「通信回線を有線で取得するか否か」という大きな違いがあります。
「Wi-Fiを設置すれば無線でインターネットに接続できる」とアバウトな印象を抱きがちですが、無線接続するには「通信回線をどのように取得するのか」を選択しなければなりません。
光Wi-Fi | モバイルWi-Fi | |
利用する回線 | 光回線 | モバイル回線 |
月額料金の相場 | 3,500~6,000円 | 3,500 |
通信速度 | 高速安定 | 若干遅い |
通信制限の有無 | 無制限 | 制限あり |
利用可能な場所 | 自宅内のみ | どこでも |
工事の必要有無 | 必要 | 不要 |
上表をもとに、光Wi-Fiとモバイル回線Wi-Fiの違いを、具体的に比較していきましょう。
1.月額料金の相場:モバイルWi-Fiが優位とは限らない?
モバイルWi-Fiは、光Wi-Fiに比べて「安い」というイメージが強いですが、実際に各社の料金を比較すると、必ずしも上記が当てはまるとは限りません。
モバイルWi-Fにも、「WiMAX回線、通信キャリア回線、クラウドSIM型」と大きく3つの種類が存在していますが、クラウドSIM型のWi-Fiは通信速度が「下り150Mbps上り50Mbps」と低く、使い勝手の評判もそれほど高くないので今回は省略しています。
光Wi-Fi | モバイルWi-Fi
(クラウドSIM型は除く) |
||
戸建て | マンション | ||
月々の料金 | 約4,200~6,300円 | 約3,400~5,600円 | 約3,500~8,000円 |
契約期間 | 2~3年 | ||
合計金額
(2年契約) |
約100,800~
151,200円 |
約81,600~
134,400円 |
約84,000~
192,000円 |
まず、光Wi-Fiでは配線の仕組みが異なる「戸建て」「マンション(集合住宅)」によって別々の料金が設けられており、1本の光ファイバーケーブルを共有するマンションが「戸建てよりも安い」という特徴があります。
さらに、マンションの光Wi-FiとモバイルWi-Fiの料金を比較すると、双方に大きな差はなく、むしろ契約会社によってはモバイルWi-Fiが高くなるケースも出てきます。
各会社ではキャッシュバックや契約キャリアとのセット割などの特典サービスも設けているため、契約時期や組み合わせ次第でも料金の差がひらいてくるでしょう。
2.通信速度:光回線のほうが速い
通信速度においては、基地局からモバイル回線を受信するモバイルWi-Fiよりも、光ファイバーケーブルを居住地まで配線する「光回線を使ったWi-Fiのほうが速い」です。
光Wi-Fi | モバイルWi-Fi | |
最大通信速度(下り) | 1 ~ 10 Gbps | 約 1 Gbps |
最大通信速度(上り) | 1 ~ 10 Gbps | 約 150 Mbps |
通信速度の安定力 | 〇 | △ |
最大通信速度を表す単位は、1秒あたりの通信容量を示しています。
Gbpsは「Giga bits per second」の略、Mbpsが「Mega bits per second」の略です。
メガ(Mega)よりもギガ(Giga)のほうが大きく、さらに数字が大きくなるにつれて速度も速くなるため、上記表を読み解くとモバイルWi-Fiよりも光Wi-Fiが速いと言えます。
通信速度の上り・下りの違いは以下のとおりです。
- 上り…インターネットを通して情報を発信する通信
例)動画・画像のアップロード(投稿)、メッセージの送信 - 下り…インターネットを通して情報を受信する通信
例)動画・画像のダウンロード(保存)、メッセージの受信
光Wi-Fiは、モバイルWi-Fよりも通信速度の安定力があります。
モバイルWi-Fiの通信速度の質が不安定になる要因には、基地局から受信する仕組みに限らず、「Wi-Fi専用機器の小型化・性能の低さ」といった点も挙げられます。
3.通信制限の有無:光回線ならどれだけ使っても無制限
光Wi-Fiであれば、原則「無制限」で利用できます。
しかし、モバイルWi-Fiではスマートフォンと同様、プラン毎に通信制限を設けています。
サービス名 | 通信制限 |
UQWiMAX | 3日10GB以上 |
YAMADA Air Mobile WiMAX | 3日10GB以上 |
So-net | 3日10GB以上 |
イモトのwifi | 3日10GB以上 |
どこよりもWiFi | 月間100GB |
Y!mobile Pocket WiFi | 月間7GB以上 |
au | 月間7GB以上 |
Softbank Pocket WiFi | 月間最大50GB |
Softbank Air | 速度制限なし ※時間・地域によって変動 |
docomo Wi-Fi STATION | 月間最大100GB |
契約会社はもちろん、契約するプランに応じて制限内容が変わってきますので、使用用途に応じて慎重に選ぶことが大切です。
また、「光Wi-Fiは無制限」とお伝えしていますが、厳密に言うと光回線はどこも必ず無制限とは限りません。
光回線業者によって異なりますが、平均基準値として「1日に30GB以上」のアップロードを制限としているケースが多い傾向にあります。
しかし動画視聴・SNSなどの通信をどんなにたくさん利用しても、個人が1日に30GBを超えるケースは滅多にありません。
一般的な使い方をしていれば、通信制限は掛かりませんので安心してください。
とは言え、P2Pを通した大量通信や違法的な通信疑惑が生じた場合は、「通信制限がある・ない」に限らず光回線業者が「帯域制限」を設けることもありますので注意しましょう。
4.利用可能な場所:モバイルWi-Fiはどこでも利用可能
光Wi-Fi | モバイルWi-Fi | |
持ち運び | × | 〇 |
設置場所以外での通信 | × | 〇 |
契約地域の制限 | 有り | 無し |
モバイルWi-Fiは、外出先でも一緒に持ち歩けば基本的にどこでも利用可能です。
対して、光ファイバーケーブルをWi-Fi専用機へ繋げている光Wi-Fiは、設置場所以外への持ち出しが不可能となっているため、特定範囲内の場所でしか使用できません。
さらに光回線は地域によって契約できるプロバイダーも異なります。
光回線の利用を検討している方は、事前に公式サイトにて確認しておきましょう。
※対象地域が最も広いのは、NTT東日本・西日本が提供するフレッツ光です。ドコモ光やソフトバンク光、so-net光など、フレッツ光の光回線を使用する「光コラボ」を提供するサービスも増加傾向にあります。気になる方は各サイトを覗いてみてください。
5.工事の必要有無:モバイルWi-Fiなら工事不要
光Wi-Fi | モバイルWi-Fi | |
回線工事 | 必要 | 不要 |
使用開始時期 | 10日~30日後 | 即日~3日後 |
モバイルWi-Fiであれば、回線工事不要で利用を開始できます。
特に複雑な設定もないため、手元に届き次第すぐに使えるのが魅力です。
▼モバイルWi-Fiの設定方法
- モバイルWi-Fiの電源を入れる
- モバイルWi-Fiに接続したい端末を用意する
- 端末側にモバイルWi-FiのSSIDを選択する
- パスワードを入力したら完了
対して、光Wi-Fiは契約後に光ファイバーケーブルを引き込むための「光回線工事」を終えなければ使用できません。
光回線の工事時期 | 申し込みから約2~4週間後 |
光回線の工事時間 | 約1~2時間 |
さらに光回線工事には、立ち合いが必要な場合や工事不可能(使用できない)となる場合もありますので、以下の内容を十分に確認しておきましょう。
▼【光回線工事の立ち合いが必要な場合】
- 光ファイバーケーブルが引き込まれていない
- 室内に光コンセントの設置がない
光コンセントが設置されていても、光ファイバーケーブルが引き込まれていないケースも珍しくないため、上記いずれかに当てはまる場合は、光回線工事の立ち合いが必要です。
ただし、前住居者が光回線工事を既に終えている、もしくは「光コラボ⇒フレッツ光」「フレッツ光⇒コラボ光」に事業者変更する場合は、立ち合い工事不要で利用開始できます。
▼【光回線工事が不可能となる場合】
- 光回線エリア対象外に住んでいる
- 光回線を引き込みたい住宅周辺に電柱がない
- 光回線引き込めない住宅構造になっている
光回線エリア対象については、前述しているとおりです。
そのほかにも住宅の構造や周辺環境によって、光回線工事に着手できない場合がありますので、事前に十分な確認をとってから依頼しましょう。
結論:一人暮らしならモバイルWi-Fi、家族なら光回線がおすすめ!
ここまでの情報をまとめると、一概に「光Wi-Fiが良い」「モバイルWi-Fiが良い」と決めつけることができません。
どちらにもメリット・デメリットがあるため、Wi-Fiの利用用途に応じて選ぶのが望ましいと言えるでしょう。
メリット | デメリット | |
光Wi-Fi |
|
|
モバイルWi-Fi |
|
|
しかし、光Wi-Fi・モバイルWi-Fiのメリット・デメリットを確認しても、結局どちらを選ぶべきか判断に迷う方も多いと思います。
上記で悩んでいる方は、ひとつの目安として以下を参考に選ぶのもおすすめです。
- 複数人でネットを使う…光Wi-Fi
- 一人でネットを使う…モバイルWi-Fi
モバイルWi-Fiは、複数人で使用すると通信速度の質が低下する傾向があります。
安定した速度・利用制限のない光Wi-Fiであれば、みんなが快適に使えるでしょう。
しかし、一人でSNSや動画を楽しむ分には、モバイルWi-Fiでも十分に役立ちます。
外出先へ持ち運びができる分、どこにいても自由にWi-Fiを利用できるのも大きな魅力のひとつです。
双方の価格差も縮まりつつありますので、ぜひライフスタイルに応じて検討してみてください。
まとめ:『光回線とWI-FIの違い』を【比較解説】
光回線とWi-Fiを比較対象としてしまいがちですが、それぞれ仕組みが異なります。
光回線は単体でインターネットに接続できますが、Wi-Fiは単体での接続が不可能です。
光回線やモバイル回線のように「通信回線」がいなければWi-Fiは利用できません。
上記ポイント抑えると、Wi-Fiを利用するにあたって通信回線の比較が必要になってくることが、お分かりいただけたと思います。
動画やSNSを無線で楽しみたい方は、Wi-Fiの主な通信回線である「光回線」「モバイル回線」のメリット・デメリットに、どのような違いがあるのか十分に把握しておきましょう。